2020年、コロナ禍でインバウンド観光がストップしてしまった事を契機に、遅まきながらyoutubeを始めました。収入が止まった中で何かしなければと言う焦りがあり、何より有り余るヒマがあり、そして台湾人の「日本に行きたくても行けない」という枯渇感もあり、チャンネルはグングン伸びて、登録者は30万人を超えるまでになりました。
しかしコロナ禍が終わり、日台の往来が再度活発化すると、当然ながら多くの台湾人YouTuberやインスタグラマーがどんどん日本に来て、バンバン動画を撮るようになり、競合が増えてきました。当然ながら、再生回数も鈍化します。
ほかと違ったことをしなければ!!!!!
いろいろ考えて、ある時、思い至りました。
「いろんな動画あるけど、みんな好吃(ハオチー=美味しい)漂亮と(ピャオリャン=キレイ)ばっかりやんけ!」
また、他の個人ユーチューバーと違って、ウチは法人。もともと観光の仕事をしているから、ネットワークを活かせば、ふつう個人なら撮影許可が降りない場所も、ワンチャン撮れる。そして私は元テレビマンで、全国の放送局とつながりもある。
せや、歌にしよう!
という事で、日本の文化や観光を歌にして、台湾の個人ユーチューバーでは撮れない場所を、ちゃんと許可どりして、元いたテレビ業界と合作して、ミュージックビデオにしてみようと、思い至りました。
で、自分で決めた1曲目のテーマは、SUSHI。別に特段の理由はなく、ふつうに俺が寿司好きやからです。
台北市内にあるレコーディングスタジオで、先生に厳しくダメ出しをされながら、4〜5時間かけてレコーディング。終わる頃にはグッタリでした。

で、肝心のミュージックビデオ。
SUSHIと言えば、北海道やなぁということで、北海道での撮影を決めました。北海道では俺自身がずっとラジオのレギュラーを持たせていただいている関係で知り合いも多く、そんな中でもゆかりの深い、北海道のテレビ業界の雄・STV札幌テレビ放送さんと、これまた北海道のクリエイティブ業界で知らぬ人はいない創造集団・モンスターデザインに依頼しました。
そして、出演者。
オッサンがずっと1人で歌ってる画もどうかなと思うし、何より記念すべき一発目の楽曲やし、ここは俺の長年の推しをアサインするぞということで、ずっとファンだった、台湾プロ野球・楽天モンキーズのチアガール、卉尼(ホイニー)ちゃんにオファーしました。はい、完全なる公私混同です。
ということで、台湾からホイニーちゃんが緊急来日。「ひとり連れを同行させる」という事だったので、ふつうにマネージャーを連れてくるのかと思ったら、同僚のチアの子を連れてきてくれて、ワテさらに大歓喜。

ホイニーちゃんは学生時代、新体操の台湾代表を目指してたらしく、ダンスは上手いし身体は柔らかいし、そしてめちゃめちゃ真面目でわたし感動してしまったのですが、ダンスを完璧に覚えてきてくれてました。素晴らしいプロ意識です。



マジで、台湾の個人ユーチューバーには絶対できない画づくりが、できたと自負しております。
そして完成した動画がこちら。
生まれたばかりの雛鳥が最初に見た動くものを親と認識するように、社会人もピヨピヨ新人の時に育った最初の環境は、その人の働く”型”として、何十年もずっと染みつくと、個人的に思ってます。
実際、新卒でテレビ局に入った俺は、デジタルメディアを10年以上やった今でも、やっぱりテレビのノリが染み付いてます。テレビのノリというかテレビ制作の1番の醍醐味は、大の大人が何十人も寄ってたかって、寝るのも食うのも忘れて、何の得になるかわからないくだらない事に真剣になって、泣いたり笑ったりする事です。別に困ってる誰かを救うわけでも、世の中を劇的に変えるわけでもない。でも俺はこれがやりたいんや!おもろいんや!という、傲慢で一方的で、まったく小学生のような発想で、ものづくりをする。
今回は久しぶりに、そんな原点に返ったような仕事ができました。
打ち上げでみんなで乾杯したサッポロクラシックは、最高に美味かったです。
